消化器エックス線検査はデジタルシステムに変革され、従来の匠の技であった写真技術は影をひそめコンピュータグラフィック技術がその主流を担ってきました。
デジタルの利点はデータ処理や管理能力に利点が高くその目的の為に開発普及しました。また経済効果やリアルタイム性も良くなり撮影枚数の制限は緩和されネット通信により瞬時に検査データを遠方広域に提供出来る利便性は計り知れないものがあります。しかし注意すべき事項に画像転送時は圧縮されるのが通常のシステム形態であり生データ保存や転送はシステム不具合を生じるため生データの蓄積等は困難な状況になるのが常です。また情報管理にID,オーダーナンバー、装置がイメージに付与する番号で管理されており情報修正は安易ではないことを念頭に入れ、受診者、オーダー、使用装置を確認して検査開始する必要性は以前よりまして慎重に行う必要性があります。
影をひそめた匠の技とは消化器検査において早期がん発見の為に胃粘膜を描出する為の技術が必要でした、それは体格に応じたエックス線エネルギー調整、バリウムの調合、発泡剤の使用量調節、フィルム管理(現像処理や目的に応じたフィルムの変更)同じ装置でもそれらの設定をほんの一部変えるだけで幅広い目的に応じた写真を提供することが可能でした。現在そのような匠の技は必要性が低くなってきております。データ量はデジタルに比較して数万倍以上またはそれ以上にアナログはデータが重く現在の画像診断システムにそぐわないシステムとなりました。そのためデジタル画像の特性を考慮した検査システムに概念を変える必要性が生じました。
2 アナログ写真とデジタル画像の違い
① アナログ写真は画素面的な分解能の違いフィルムは銀粒子の分解能でありその大きさはナノレベルであり銀粒子の厚さを持つ立体的な情報能を持つ、DR(CCD1000M画素)FPD(フラットパネルディテクター)は1画素175μmでピクセルは平面配列の平面的情報能である。IICCD方式は平面ながら光学拡大が可能で12インチの視野においてマトリックスサイズ(1素子)あたり10μmの空間分解能
②空間的な分解能(素子の層構造)
フィルムは銀粒子が積層塗布されており厚み方向に情報は積算されます、DR(デジタル)は平面1層の情報にコンピュータグラフィック解析を行いフイルム写真のように見せかけた厚みのない画像となります。言い換えると真っ黒い写真はデータ量が多く強い光源で観察したとき微細な病変を診断出来たり、淡い肺野の陰影などはフィルムを斜めに傾けて観察することで病変の存在の確認が可能であった。
③画質調節コントラスト分解能や処理技術
アナログ写真は何らかのトラブル発生において画質を変える事は不可能です。過去によく起こった事例に現像トラブルが最も多く、診断困難で再検査と言う事態が生じました。
それに対してデジタルはメモリーされた画像は一般的に消滅することはなく装置が故障して使用できなくなってもデータを取り出す事が可能であり、またバックアップ機能を利用してらさらにリスクは軽減されます。また輝度や快調度を自由に変更したり、グラフィック機能を利用して全く異なる画像を作ることが可能であり利便性は高い
④データ管理
アナログ写真は観察の為シャーカステンが必要でありフィルム収納庫が必要で取り出し収納は人の労力がひつようである。しかし一度準備したら簡単に比較閲覧が可能である
デジタル画像はモニター観察により見たい画像を検索で出力し画質調節も簡易、データ管理に労力はさほど伴わない、比較観察においてはモニターの制限により困難な場合が多い。また撮影情報の書き換えが困難でありシステム不具合で情報が迷子になったり他の情報に張り付いたりするリスクを伴う。その時特定困難な場合が多くトラブルシューティングは容易でない。撮影に関しての患者入力はRISによる自動入力化により簡易化された分に応じた情報不具合の発生率は上昇している。RISにPACS画像データ参照などの機能は有しているが、接続設定されていない。
3 胃エックス線検査の変化とバリウム及び薬剤使用について
①安全性
安全性の為ブスコパン等の薬剤は一般的に使用しない。通常空腹時にバリウムを摂取するのでその刺激で蠕動運動は促進される
バリウム投与に際してバリウム摂取前に説明と同意を得る事が義務付けされている
その他予測されるリスクに応じて検査続行や中止等敏速に判断する必要性を推奨している、将来的に義務付けが予想される
②バリウム製剤の変化、撮影枚数(新垣案)
バリウムはバリトゲンデラックス2:ウムブラゾルA1の混合を120から140VW250cc使用量この調合は昭和55年から平成10年頃まで行っていた。平成6年ごろより大粒子高濃度バリウム製剤バリトゲンHD200VW100から200cc投与に変わり現在日本全国で一般的な検査バリウムとされている
注意:DRにおいて高濃度バリウムは意味をなさない!何故なら、DRはコントラスト分解能に優れているのでバリウムなど高濃度造影剤を使用すると病変が消える、または再現性に苦慮する