新生児に脳損傷を、成人に稀な神経系疾患を引き起こす疑いがあるジカウイルス

ラニュゼル氏と研究チームは、症例報告の中で、最近まで、ジカ熱は人間に軽症の感染症を引き起こすと考えられていたが、実際はそうではなく、「今回の急性脊髄炎患者の脳脊髄液中にジカウイルスが存在することは、これが(中枢神経系を侵す)向神経性ウイルスである可能性があることを示唆している」と記した。

 蚊が媒介するジカウイルスは通常、成人に微熱や頭痛、関節痛などの軽い症状を引き起こすが、より重篤な健康問題との関連性が観察されたことから、同ウイルスの急速な拡大に対する懸念が広がっている。

 性感染の事例も、ごく少数ながら報告されている。また先週には、ジカウイルスと新生児の先天異常である小頭症との生物学的な関連性を示す初の証拠を発見したとする研究が発表された。小頭症は、胎児の脳に重度の変形を引き起こす。

 研究によると、胎内での脳の発達に関与する主要細胞をジカウイルスが攻撃し、破壊または無能化することが実験で確認されたという。