平成26年6月1日 Shuzou Arakaki URL http://syuzou.awk.jp/
医療画像技術の立体視方法に、「サーフェスレンダリング法」と「ボリュームレンダリング法」があります。色合い
を重ねながらボリュームデータにして(モデリング modeling)2 次元画像を透明層で色彩を重ねて立体的
に見える処理(レンダリング rendering)を行います
表面を見る方法を「サーフェスレンダリング法」。透明度を変えて中身も見える方法を「ボリュームレ
ンダリング法」を数十回と繰り返し夜光貝の中から出る輝きを増幅させます
今回はその技術を応用した夜光貝ボリュームレンダリング細工彩色処理方法を記載します
夜光貝を素材として使用する理由
夜光貝は真珠層と透明層を複数層有する素材で、立体描画に適した性質を持ちま
す、真珠層の輝きもオーロラ色に多彩に輝く特徴があり、その特徴である多層構造に
より虹色迷彩の輝きを複雑に発することができます。その特徴を最大限に生かすた
めに、レンダリング技術を採用しています
夜光貝は多層構造により、光線の入射角度
により輝きが変化します
輝きに合わせてレンダリングを重ねるご
とに輝きの複雑な散乱を発し独特の輝き
を引き出せます。
輝きによる立体描画を演出します
レンダリングにより夜光貝のオーロラ色
の真珠層の輝きが明瞭化します
輝きにはある法則があり漁具の疑似餌を
加工する場合は基本斜め後ろに輝きを発
するように真珠層の研磨を行います
タカセ貝は表面的な真珠層の輝きでヴォ
リュームレンダリング彩色には不向き
夜光貝は真珠層が幾層も重なっており且
つ適度な透明感があり、その層構造の内部
を光線が乱反射する独特の特徴を持ちま
す。今回はその処理方法を記載します
まずは夜光貝選び、貝殻の厚いものを選びます:内部の輝きの赤優位の発色を選ぶとよいです(年齢が高
いです、若貝は青色系統の発色)
磨きの極意:生きたまま磨く
極上夜光貝の表面は石灰層やサンゴの共生で表面はおおわれており真珠層を出す研磨が必要となります
生きた状態でワイヤーブラシで共生付着生物を除去します
マイナス40度の冷凍庫で凍らせ→凍った状態で100番のサンドペーパー装着のサ
ンダーで磨きます:冷凍磨きの理由は殻の光沢は熱に弱くサンダー研磨での熱やけ
を抑制する必要があります、手磨きは非常に困難です
セリ市場より駕籠単位で仕入れますのでサイズや
形状及び価格は水揚げ状況に依存します
このような大型の夜光貝は市場に出にくいです
中型サイズ1キロ/個は食用として一般的に出回り
ます
十数年物の大型夜光貝はサンゴや他の貝類が共生し
ており真珠層は厚く凹凸や欠損穴が多く存在します
形状も自然界の衝撃により羽根は欠損し丸くなりま
す
仕入れたらすぐに海水層内で表面の寄生サンゴや藻
類を落とします
生きた状態の夜光貝をワイヤーブラシで辛抱強く落
としていきます
その後夜光貝は生きたまま-40度急速冷凍処理し
ます
このように殻厚の大きい夜光貝を冷凍状態にてサン
ダーで研磨していきます。サンダー研磨は熱発生率が
高いので、研磨→冷凍→研磨→冷凍→研磨と少しづつ
表面研磨を行います
中サイズの夜光貝は模様磨きでストップし出荷しま
す夜光貝 VR レンダリングデザイン工法:VR 工法は色調と透明度により立体彩色描画
する技術です
真珠層が完全に出てくるまで磨きあげます
輝きに合わせて下地塗り
貝殻の形状が非常に良い素材はそのま
ま形状維持で研磨
表面の石灰層だけを研磨しましたので
凹凸が激しくなっています
通常は表面の凹凸を滑らかにする研磨
を行います
最初の彩色は水生塗料で輝き色素を染
み込ませる作業を行い表面の余分な塗
料をふき取りながら表面を今般度で研
磨します
ChopicSketch の毛質を利用してでき
るだけきめ細かく、且つ薄い色からデ
ザイン描きを始めます
デザインの始まり、VR:ボリュームレ
ンダリング工法なので、薄い色から一
色ずつデザインに合わせて彩色して重
ねていきます
最初に大きなバックデザインをイメー
ジして描きます
繊細なイメージングを重ね描きしますこのようにあせらずゆっくり色合いを変えて透明ペイントで透明層処理を毎回加えて
重ねていきボリュームを持たせます:注意 透明層樹脂の塗布は晴天時且つ湿度の
低い日に必ず行ってください、雨の日は湿度が高いので透明層は半透明に濁ります
透明層の塗布後十分に乾燥してから次の彩色を行います
SR レンダリングの追加
大きなバックデザインをイメージ
して描き
繊細なイメージングを重ね描き
毎回描き上げ後に透明層のコーテ
ィングを行います
繊細なイメージングを重ね描き
彩色→透明層コーティング→乾燥
と数十回繰り返していきます
注)透明層コーティングは湿気のあ
る日は禁忌です
SR レンダリンングは細い線画によるモデリングで
光と影により遠近感を持たせて立体視する技法で
す
濃く細いラインで立体感を出すモデリングデザイ
ンを重ねていき最終的に夜光貝の内部散乱と複数
層に重ね描きした透明層内部の帯域幅の広い輝き
を最大限に引き出していきます
帯域幅の広い輝きを醸し出しますので、照明設備も
帯域幅の広い光線(太陽光)を必要とします
朝、昼、夕方の光線に応じて多彩に変化する特徴を
持ちます
注)デジタル写真は帯域幅が狭いので実際の輝きは
アップすることができません:肉眼で確認すること
しかできません 夜光貝の輝きを引き出すため濃い色のエッジングを行いますこの処理により内部散
乱が大きくなり夜光貝ならではの素晴らしい輝きを引き出していきます
彩色→透明層コーティング→乾燥と数十回繰り返していきます
基本は薄い色彩の重ね塗りと反射用に濃く細いラインで立体感を出すモデリングデザイン
を重ねていき最終的に夜光貝の輝きを最大限にやさしく引き出していきます
光の入り口と内部散乱の増強により、眺める角度に応じて多彩なグラディエーション彩
光を楽しむことができます。照明は太陽光と同じく帯域幅の広い光線を必要とします
夜光貝ランプとして楽しむ
私が特殊加工(VR,SR グらディエーション処理)下製品には貝の内部口の部分にサインと
加工開始日を入れてあります:さらにデザイン証明書を添えつけております
夜は内部にランプを設置して夜光貝のと VR,SR
デザインの独特の透過光の演出を楽しみます
注)夜光貝独自の輝きは熱に弱く、発熱しない電
球を使用しなければなりません
:私は LED 球1W製品を利用しています
製品:夜光貝 VR,SR デザイン工法ランプ
タイトル:Resplandor de la pasión infinita floración
(スペイン語、情熱開花無限の輝き)
提供元:ShuzouArakaki:製作者 新垣 周三、サイン=
素材 沖縄水揚げ3キロ重量夜光貝非熱研磨処理:水性ペイント下地塗り
:CopicSketch::朝日ペン透明ラッカー段階式吹き付け仕上げ
工法 VR ヴォリュームレンダリング彩色30回重ね:透明層処理5×30回
SR サーフェイスレンダリングモデリング線画処理1回
最終仕上げ透明層重ね処理5回
奉納日:2014年6月1日(旧暦5月4日ユッカヌヒー港川海神祭)
仕上がり完了日:8月1日螺鈿細工は貝殻の真珠色に光る部分を磨いて薄片にし、種々の形に切って漆器や木
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